種の蒔き方

種蒔きの方法としては、タネを直接、花壇や畑に蒔く「直蒔き」と、「蒔き床」を用意して土を入れ、そこに種を蒔く「箱まき」があります。

・直蒔き
苗を移植する手間がないので楽ですが、蒔いた種や発芽したばかりの幼苗が、土中の病原菌や害虫に負けてしまうことがあります。 しかし種が大きく、病虫害に負けない体力のある植物や、移植を嫌う植物には有効な方法です。 また、畑で野菜を栽培するときなど、一度に大量の植物を育てる場合も、直蒔きのほうが効率的です。 種子が微細な植物は、直蒔きしないでください。

・箱蒔き
移植などの作業が面倒ですが、清潔な土で、安全に幼苗を育てられるのが利点です。 発芽後も、幼苗の生長具合に応じ、土の量や植え鉢を変更できるので、きめ細かい管理ができます。 

蒔き床の容器は、小さめのビニールポットや連結ポット(プラグトレイ)、平鉢、専用の育苗箱などを用います。 玉子パックの底に水抜き穴を開けたものでも良いです。 種の大きさにもりますが、なるべく浅い容器を用いるほうがベターです。 深い容器を使うと、底の方の土が乾きにくいため過湿になりやすく、発芽した幼苗が根腐れすることがあるため。 なお、使い古した鉢などをそのまま使うと、まいたタネや、発芽した幼苗が腐ることがあるので、あらかじめ、オーソサイドなどの園芸用殺菌剤か、熱湯などで消毒してから用いてください。

蒔き床の土は、赤玉土小粒や川砂、バーミキュライト、ピートモス、水ゴケの粉末など。 無菌で、pHが弱酸性〜ほぼ中性の土を用いてください。 市販のタネまき専用土でも良いです。 土の深さは、3〜5cm程度が最適。 なお、不潔な古土などを使うと、タネや幼苗が腐る病気が出やすいので注意してください。 蒔き床の土には、肥料を入れないほうが安全です。 元肥を入れると、幼苗が肥料負けを起こすことがあります。 

【覆土について】
蒔いた種にかぶせる土(覆土)の厚さは、タネの厚さの1〜2倍前後が基本です。 覆土が厚すぎると発芽しません。 (種の厚さが1mmなら、覆土は1〜2mm) よくわからなければ、とりあえず、タネが見えなくなる程度に土をかぶせてください。 ただし、好光性種子や、直径1mmにも満たない微細なタネには、覆土はしないでください。

【覆土をする理由】
種を乾燥から守ったり、発芽時に種皮をむけやすくする、という役割があります。 発芽しかけの幼苗は、土との摩擦を利用して種皮を脱いでいます。 好光性種子や微細なタネに、覆土をしてはいけないのは事実ですが、覆土の役割を考えると、土の粒の間からタネが見え隠れするくらい、ごく薄く土をかぶせたほうが、その後の生育がよかったりします。 覆土の加減が難しければ、タネと、粒の細かい土を等量混合し、それを土の上にばらまくと良いです。

【種蒔きの手法】
種の蒔き方には、3つの方法があります。

・条蒔き(筋蒔き)
土の表面に浅い溝を作り、そこに種を一列に蒔く。

・点蒔き
土の表面に小さな穴を掘り、そこに種を数粒ずつ蒔く。

・バラ蒔き
種を適当にばら蒔く。

基本的に、大粒のタネは条まきか点まき、微細なタネはばらまきすしますが、特に決まりがあるわけではありません。

【種の蒔き方】
*2は省略可能
1) 蒔き床の容器に土を入れ、表面を手で軽く押さえて平らにする。
2) まき床に水やりをして、土を落ち着かせる。 このとき、土がへこまないように、ホースや水差しではなく、ハス口を付けたジョウロを使うとよい。
3) 種同士が重ならないよう注意しながら、まき床全体に、種を均等にまく。
4) 2mm程度の、目の細かいふるいを使い、全ての種に、均等に土をかぶせる。 粉末状の微細な種なら、1mm目のふるいを使い、「みじん(径1mm未満の微細な土の粒)」をかぶせてもよい。 蒔いた種が少量なら、ふるいを使わず、指先で丁寧に覆土してもよい。
5) 蒔き床ごと、水を張った浅いトレーや鉢受け皿などに浸し、底から水を吸わせる。(「腰水」という。)
6) 腰水にしたままのまき床を、直射日光や雨、強い風などの当たらない、涼しい場所に置き、発芽を待つ。

最近は、圧縮ピートモスで作られた、「ジフィー」シリーズや「ピートバン」など、手軽で便利なタネまきキットが市販されているので、それを使えば、まき床の容器や土を用意する手間が省けます。 なお、乾燥したピートモスは水を吸いにくいので、あらかじめ、浅く水を張ったトレーや鉢受け皿などに浸し、じっくり吸水させてから種を蒔いてください。

【種蒔き後の注意】
種蒔き後、上から水やりをすると、タネが水で流されたり、覆土が飛び散る恐れがあるので、腰水とし、底面から吸水させるのが普通です。 しかし、粒の大きな種は水で流れにくく、覆土も厚いので、ハス口を付けたジョウロを使えば、上から水やりしても大丈夫です。

一旦種を蒔いたら、発芽するまで、種を乾かさないように注意してください。 一度でも乾かすと、吸水して活動し始めていたタネが干からび、二度と発芽しなくなります。 毎日監視できなければ、湿らせた新聞紙か、空気穴をたくさん開けたビニールなどでまき床を覆い、湿度を保つと良いです。 ただし、発芽が始まったら、即座に覆いを取り除かないと、幼苗が日光不足や蒸れのために徒長したり、腐ったりするので注意してください。

蒔き床を直接地面に置くと、ダンゴムシやナメクジなどの害虫がやって来るので、コンクリートの上や、棚などに置いたほうが安全です。 1つの蒔き床には、一種類の種だけを蒔いてください。 同じ種類の植物でも、品種や花色が違っていたりすれば、別々の蒔き床に蒔いたほうが良いです。 同じ種類の植物であっても、品種や花色の違いで、発芽後の生長速度が違うことが多々あり、弱い品種や花色が負けてしまうからです。

色々な植物の種を、沢山の蒔き床に蒔いた場時は、それぞれに、名前を書いたラベルを立ててください。 2つのプランターでもラベルを立てた方が良いです。
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